アグリビジネス創出フェア2004
2004.10.15ステージB
B-23
12:45〜13:00
ネムリユスリカの乾燥休眠研究とその利用


所属 (独)農業生物資源研究所
生体機能研究グループ 生活史制御研究チーム
発表者 奥田 隆
【キーワード】
ネムリユスリカ/クリプトビオシス/乾燥保存/トレハロース

【内容】

ネムリユスリカはアフリカ半乾燥地帯の岩盤の窪みなどにできた小さな水たまりに生息する。1週間も雨が降らないと水たまりは干上がってしまいユスリカ幼虫も完全に脱水し乾燥休眠(クリプトビオシス)に入る。次の雨がくると乾燥幼虫は吸水して1時間以内に蘇生する。クリプトビオシス状態になると、マイナス270℃の低温や100℃の高温などの極限温度環境に対して耐性を持つ。乾燥幼虫の身体には、乾燥重量の20%に相当する大量の生体成分保護物質であるトレハロースが蓄積されていた。現在、食肉や臓器および細胞の保存は冷凍および冷蔵保存が主流である。この保存方法は、保存期間に限度があり、しかも環境に有害な冷媒や大きなエネルギーを必要とする。もし臓器などを蘇生可能な状態で常温乾燥保存ができるようになれば、より長期間の保存が期待でき、かつ輸送や貯蔵にエネルギーがかからないので低コストの保存が実現される。常温乾燥保存法は、優れた未来の保存方法になるであろうと考えている。ネムリユスリカの乾燥耐性の分子機構の解明と、その基礎データを元にした応用技術への可能性について紹介する。
特許等知的財産関連の状況 申請中2件/申請検討中1件
研究開発の段階 基礎研究/開発研究
その他アピール点 (1)ネムリユスリカ乾燥幼虫の理科教材化
(2)多細胞組織の蘇生可能な乾燥保存技術
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